文語體の趣味を談ず

日󠄂本語の文󠄃體は數少からず。其內如何でか今世こそ殆使󠄃はざる文󠄃語體にて起󠄃筆せむかと。我却りて讀者に問はむ:如何でか高校に折角敎へられたる古文󠄃を活用せぬかと。 文󠄃語體(普通󠄃文󠄃とも稱せらる)の作文󠄃は現代に於て氣息奄々として甚だ見苦し。剩へ今人の多きは戰前󠄃の口語體の書を讀めば多大なる註釋なくずば解すること能はじ。 無論、文󠄃語體は猶󠄅俳句等の分󠄃野にて謂はゞ藝󠄂術󠄃品(或は骨董󠄂品)として存續せるが、疇昔と比較せば蛻の殼に過󠄃ぎず。我言ふに此事情極めて遺󠄃憾なれば自ら文󠄃語體、而して口語體を兩方以て禿筆を呵さむとするなり。幸ひ「文󠄃語の苑󠄃」といふ協會は今も猶󠄅あれば文󠄃語體の作文󠄃に關心ある好學の士あるめり。若󠄃し日󠄂本に住まば此協會と國語問題協議會と共に入會せむと欲す。