日本語に關する隨想

本論に這入る前󠄃に、豫め明󠄃記せざるべからざる留意點あり: 1)文󠄃語體にせよ、口語體にせよ、本サイトの表記は原則として歷史󠄃的󠄃假名遣󠄃と正字(卽ち舊󠄂字體)を以て書くものとす。理由は諸〻なれど極論せば此書き方を好むなり。 2)文󠄃語體にて文󠄃を作るは慣れずして拙作に於て誤󠄄謬の恐󠄃れあり。然樣御承知被下度候。 閑話休題、焉んぞ日󠄂本語、況んや文󠄃語體にて此論を書かむや。抑〻何ゆゑ日󠄂本語をば勉强したるか。何となれば日󠄂本語の稟質の、特立して他言語の及び得ざる美點を嗟歎せざるべからざればなり。言ふなれば日󠄂本語の風流なる響󠄊き、其言語に纏る深邃なる文󠄃化󠄃、而して其字(詰り漢字と假名)の甘美なる調󠄃和を元來痛感しつつ、如何でか我心を醺醉して魅了せざるや。無論勉强の權󠄂輿は專󠄂ら現代日󠄂本語なれども、然る後古文󠄃書(卽ち普通󠄃文󠄃と稱せらるゝもの)を閱讀し始め、竟に文󠄃語體の作文󠄃に食指が動ければ此文󠄃章を書かむとせり。